Kiss Of Life

SADE・・・
シャーデーの楽曲をカテゴリーで言い表すのはむずかしい。ジャズやソウル、ファンク、ラテン、レゲエなどの要素がアルバムの中に様々な形でブレンドされているためだ。しかし、曲のジャンルが様々でもバンドのボーカル「ヘレン・フォラシャーデー・アデュ」が歌うと、不思議と統一感のある一つのシャーデーというカテゴリーとして成り立つから不思議だ。それだけヘレンが歌う声には個性的な魅力があるという事だと思う。
SADEというバンドは、私のミュージックライフを語る上で、現時点ではかかせないバンドの一つであるし、NEWアルバムが出ると(あまり出ないが・・・)必ず期待感を持って視聴するファンである。しかし、Swing Out Sisterやincognitoと比べると、私的にややランクが下がってしまう。それはなぜか?SADEのアルバムの中には、私的に馴染めない曲調も少なからず含まれるからだ。ではなぜ?NEWアルバムの度に期待感を膨らませるかというと、過去のSADEの曲の中で、私自身の曲作りにおいての考え方や方向性を見いだしてくれたすばらしい曲があり、その曲については、もう何回聞いたかわからないが、今もなおその曲が放つ空気感や心地よさは、他のバンドの曲ではなかなか味わえない。SADEの中でもヒットしている曲なので、当然、皆さんよくご存知な曲であるが
1992年に発表されたアルバム”Love deluxe”の収録曲「 Kiss Of Life」である。
「 Kiss Of Life」は、とてもシンプルな曲で、良く聞いてみるとコード展開は2つのパターンしかない。イントロ、Aメロ、間奏が1つのコード展開パターンでBメロとサビ、エンディングがもう1つのコード展開パターンだ。それをヘレンがメロディを変えて歌う事と楽器のアレンジによりイントロ、Aメロ、Bメロ、サビ、Cメロのように聞こえてきて、何気なく来ているだけでは、2つのコード展開パターンで構成されているとは感じない。「 Kiss Of Life」に限らず、同じコード展開でメロディを変えることはよくあることだし、特筆するべきことではないかもしれないが、私は、この「 Kiss Of Life」という曲が大好きで、いつ聞いても、この曲が流れると体が開放感に浸るというか、脳が癒されるような、不思議な感覚になるので、ある時この曲をギターでコピーし、どういう構成になっているのかを自身で分析してみた。結果、すごくシンプルなコード展開の2パターンのみという事がわかった。
2パターンのコード展開のみで曲が構成されていることは珍しくはないが、私的に「こんな心地よい曲」が、けっこう単純な構成だった事に改めて感心したのである。本当にすばらしい曲だと思った。難しいコードを使ったり、凝ったメロディにすれば良いとかいうものではない!シンプルな構成で十分にすばらしい曲を作る事ができるのだ!と、それを教えていただいたお手本の様な曲なので、私自身がこういう風な曲を作る場合は、極力シンプルな構成とシンプルなコード展開パターンにしようと心がけた訳である。また、楽器の構成もエレピ、ギター、ベース、ドラム、サックス、のように何のエフェクトもない楽器の生音だけ、シンプルな音でいいのだという事に改めて気付かされた曲なのだ。もちろん、この「 Kiss Of Life」は、ヘレンの歌声があるからこそ曲調にベストマッチし、最高の出来に仕上がっている事は言うまでもないが・・・
私がSADEを知るきっかけになったのも、好きになったのも、この「 Kiss Of Life」という曲を知ってからであり、アルバムのLove deluxe(1992発表)に収録されているのだが、私が知った時には、すでにアルバム発表から5年くらいの月日が経っており、次のアルバムにも入るであろう第2の「 Kiss Of Life」を楽しみに待ち望んでいた。そんなことから、熱狂的なファンという訳ではないが、NEWアルバムの度に、ものすごく期待感を膨らませている訳だ。
当時、過去のアルバムにも「 Kiss Of Life」のような曲調があるのかを確認するためにすべて揃え聞いてみたが、「 Kiss Of Life」のような曲は収録されておらず残念に思った。
もちろん「 Kiss Of Life」以外にも好きな曲はあった。代表的なところで述べるとDiamond Lifeの「Hang On To Your Love」や「Smooth Operator」Promiseの「The Sweetest Taboo」Stronger Than Prideの「Nothing Can Come Between Us」や「Love Is Stronger Than Pride」「Paradise」「Keep Looking」Love deluxeの「Mermaid」などであるが、しかし、いずれも私的には「 Kiss Of Life」にはかなわない。デビュー当時からのSADEファンの方には異論もあると思うが、あくまでも私的なので勘弁願いたい。そんなことから、私自身は”Love deluxe”のアルバム以降は、次の「 Kiss Of Life」を期待していた。しかし、その後に発表されたアルバムLovers Rock(2000発表)にも、その後(10年後ですよ。。)のSoldier Of Love(2010発表)にも、次の「 Kiss Of Life」だ!と思えるような曲は収録されていなかった。
Soldier Of Loveにいたっては、「 Kiss Of Life」どころか、曲調としては完全に遠ざかってしまった。楽器の音に関して言えば、あいかわらずシンプルな音使いではあるのだが・・・結論から言うと「 Kiss Of Life」のような曲調がSADEにとっては異質の作品であり、今後も期待感は薄いと思う。SADEの方向性は「 Kiss Of Life」のような曲調ではなく、今後もソウル的な要素をもった曲調になるのだろうか?今後にアルバムが発表されるかどうかは?定かではないが、私は切に第2の「 Kiss Of Life」を望む。
シャーデーのライブVIDEOを見た時に、大人のバンドとはこういうことなのかと認識した。しかしながら。。これは日本人には無理!“ムリ”ですよね〜
どうあがいても、こんなにかっこよくならないもんね。あ〜第2の「 Kiss Of Life」を作ってくれマシュー。